地域の住人が
誇れるようなまちにする

(有)楢村徹設計室 楢村 徹さん

 楢村さんは「地域での建築のあり方」をテーマに、これまで倉敷の旧街道や美観地区にある四〇件以上の町家を再生してきました。楢村さんの建築は、古民家のもっている特質や良さを生かしながら、新しい機能や現代的な感覚を加えることで現代住宅として甦らせ、未来に残すことを目的としています。今回は倉敷の魅力と町家の再生について楢村さんの考えを伺いました。

ハード面で文化の骨をつなげる

 日本の多くの歴史的建造物は通りに面した箇所しか歴史的建造物が残っていないですが、倉敷の特徴は歴史的建造物が面で残っているところにあります。これは大原さんをはじめとした先代の人たちのおかげです。 また、倉敷のお店や人は観光面を気にせず、「倉敷らしさ」や「倉敷の住人に受け入れられるにはどうしたらいいか」を考えています。そういった余裕と倉敷としての誇りを持てるのが、倉敷の一番素晴らしいところだと思います。 そして、私たち地方の建築家はハード面でまちを維持することで店や人を支え、世代をこえて文化の骨をつなげていくことが役目なのです。

 時が経てば風潮も変化をしていくなかで、町家も祭りも文化も含め、本当に欠けていることは何か、次の世代に残していくべきものは何かという考えを持ち、理想だけではなく本当に自分たちがやらないといけないことをみつけることが一番重要なのだと思いました。

楢村 徹さん